取るに足らない小噺ブログ

クスリとしていただきたくしょうもない小噺を提供します。

コンタクトレンズの方がいいのか?

 メガネで少し困ることがある。マスクの隙間から漏れる鼻息ですぐくもる。呼吸のたびにくもったりはれたりを繰り返す。サウナに入ったとき蒸気でくもる。しかも金属の部分が火傷するくらい熱くなる。ラーメン、うどん、スープ類を食べるとき蒸気でくもる。温かいものを目の前にしてメガネのくもりが食事を妨害してくる。最近、1日に1回以上メガネにイラっとする。ということで、コンタクトレンズの購入を検討中。

サイボーグは空港の金属探知機にびびる

 中学1年生の頃、右膝前十字靭帯を断裂して手術をした。その際に、10本以上の金属製のボルトが体内に埋め込まれた。この日を境に、私はサイボーグとして生まれ変わった。ボルトは骨の成長に伴い、骨に埋もれてしまったらしい。

 

 手術をしてくださったお医者さんは、「飛行機の金属探知機に反応するかもね、あはははは。」と軽く言っていた。そのせいで、手術後はじめて金属探知機のゲートをくぐるときは緊張した。反応は一切しなかった。

 

 この情報が飛行機のハイジャックを企てる人に知れたらまずい。自分の身体の中、厳密には骨の中に刃物を隠し持たれたら、金属探知機を素通りされてしまうだろう。

 

 まあ、取り出すことできないだろうけども…。

過去の失言を一つ変えれるなら

 タイムマシンは理論上可能であるということは、物理を勉強する環境にいるとちらほら聞こえてくる。その理論が掲載されている論文はあまりに難解で、複雑な数学の式を解読できないとさっぱりピーマンなんだとか。タイムマシンがもし実現したら過去の失言を一つ撤回したい。

 

 かつて私は縁があって、ある動物園の一日園長をさせていただいた。小学6年生のときだ。園長といっても、動物園で普段入れない裏側にいれさせてもらえたり、動物に食事を与えさせてもらったり、貴重な体験をさせていただくだけというありがたい内容だった。

 

 途中、地元のテレビ局にインタビューされた。どんなことを聞かれたかは曖昧だが、私は、『餌を作るところが臭かったです。』という意味不明かつ配慮ゼロの回答をした。私が動物園関係者なら、ブチギレていただろう。貴重な経験をさせていただいたことに関する感謝の思いを示さんかい。今ならこう答えるだろう。『貴重な体験をさせていただいたことに感謝します。また、動物園の素敵な一面を垣間見ることができました。みなさんにもぜひ足を運んでいただきたいと思います。』これぐらいは言わんかい。地元テレビ局は、ノー編集で私の失言を放送した。

 

 過去の失言を撤回できるなら、真っ先に思いつくのは一日園長をしたあの日だ。

顔を見られて

 近所の路地裏を歩いていた。ふと、向こうから女性が歩いてくる。私の3mほど手前で立ち止まった。へっと思い、その人の顔を見た。その人は、私の顔を見ていた。慌てふためいてもと来た道を走り去っていった。えっ、そんなに僕の顔気持ち悪いですか。ウルトラスーパーハイパーショック。また少し歩いたらその人が家から出てきた、マスクを着用して。私の顔を見てマスクを忘れていたことに気づいたらしい。そうであってほしい。

違いますと言えない

 少し前、ファミリーマートで700円以上お買い上げで引くことができるくじを引いた。このくじは、コロナウイルスの影響もあり、客が手で引かない。店員さんが、「何番ですか?」と尋ねてくる。1〜10番の番号のところに並んでいるくじから、客が伝えた番号のくじを店員さんが渡してくれるという流れになっている。

 

 店員さんに『4番で。』と伝えると、「1番ですね。」と言われて1番のところに並んでいるくじを渡された。このように人から違うものを提示されたとき、心の中ではいや違うと思っていてもそれを伝えることができない。

 

 美容院で髪を切ってもらったとき、最後に「どうですか?」と尋ねられる。そこでも『いや、もう少し。』と言うことができない。20歳の頃、美容院で「今日はどんな感じで?」と尋ねられた。私は、『襟足をなくしてください。あと、全体を短くしてください。』と伝えた。結果、襟足は少し短くなったが、全体も短くなり相対的に襟足が際立った。当時、テレビで見た大家族のいたずら好きな5歳児と同じ髪型だった。死ぬほど嫌だった。しかし、何も言えない。4000円のカット代を財布から出すのに人生で最も苦しんだ。

 

 家に帰り、泣きながらバリカンで坊主頭にした。こんなに辛くても違いますと言えない。

 

 ファミリーマートのくじは当たりだった。違うと言わなくて、いいこともたまにはある。

ソフトボールピッチャーデビュー

 5年前、地元のソフトボールチームに所属していた。大学生の一夏をウィンドミル投法に捧げた男のデビュー戦が幕を開けた。

 

 相手は、大学の体育会にあるソフトボールチーム。我がチームの所属するリーグ戦でぶっちぎりの一位。相手ピッチャーの球は、空気を切り裂く音がするほど唸っている。私が所属するチームは、リーグ戦最下位。ピッチャー不足という問題を抱えていた。点差が開けば登板のチャンスはある。これまでに何度か試合に参加していたが、全てベンチを温めていた。つまり、私はチームの秘密兵器というわけだ。ベンチウォーマーではない。

 

 圧倒的点差がつき、5回裏。ついに私の出番がきた。マウンドから投球練習。いける、調子がいい。はじめのバッター。渾身の球を投げ込んだ。「ストライーク」、審判がコールする。我ながらいい球だと思ったそのとき、相手ベンチが、バッターへ叫んだ。「ピッチャー、チェンジアップあるよー。」

 

 待て待て、私は全力のストレートを投げたのだ。チェンジアップなんて変化球は投げれない。ていうか、チェンジアップって遅い球やないかーい。

 

 そのあとフォアボールを連発、ホームランを2本打たれコールド負けとなった。私のストレートは遅すぎた。

バレンタインデーの思い出

 バレンタインデーが近い。私にはほとんど縁もゆかりもないイベント。20年前に一度だけドキドキすることがあった。

 

 小学5年生で迎えたバレンタインデー。まだあの頃は、この年に一度のイベントで、期待に胸を膨らませて学校に行っていた。何かが起こるのではないかと。その何かは朝の下駄箱で起きた。なんと手紙が入っていた。周りにはクラスの子がいる。手紙をそっとポケットに隠した。中身はまだ見れない。

 

 授業中、ずっとソワソワしていた。誰だ、誰からの手紙だ。手紙の内容は何だ。そればかりが頭を巡っていた。

 

 学校では、手紙を見るチャンスが見つからなかった。放課後、家に猛ダッシュで帰った。自分の部屋に直行。息を弾ませながら、大事に持って帰った手紙の封を開けた。

 

 今日の18時に下駄箱に来なかったらコロス。

 

 可愛らしい字でえげつない一言が書かれていた。ただ、私の門限は17時。真面目な私は、門限を守ることを優先して行くことを断念した。この日からしばらく殺害予告に怯えて生活することになった。こんな一言を書く人怖すぎる。

 

 私の人生の最後は、この可愛らしい字の持ち主にコロサレル運命だ。