取るに足らない小噺ブログ

クスリとしていただきたくしょうもない小噺を提供します。

スカイダイビング

 33,000円。高い値段です。もし、このお金があれば、皆さまは何をするのでしょうか。私はセスナの中で後悔の念に駆られていました。

 

 テレビでスカイダイビングを見たことがあります。とても楽しそうです。終わったあとの興奮しているタレントの様子を見るとやってみたいと思います。

 

 インターネットでスカイダイビングを調べてみると、あるところでは33,000円でできるとあります。一生に一度の経験かなと予約を入れました。

 

 飛行場に着きました。受付を済ませ、20分くらい待機しておりました。少しずつ緊張してきます。私以外にカップルが一組、女性の友達二人組がいました。私はいつだって一人です。

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 インストラクターの方が登場しました。ハーネスをつけてくださり、セスナから飛び出す時、落下している間、着地する時にどうすればよいか説明してくださります。

 

 セスナの近くまで車で移動します。なぜかフロントガラスにバカでかい銃痕があります。不吉です。

 

 セスナに乗り込みました。体操座りのように床に座ります。体験する私たちとインストラクターの他に、趣味でスカイダイビングをされているらしき方々も乗り込んできます。満員電車のようにぎゅうぎゅうです。

 

 セスナはどんどん高度を上げていきます。時々セスナがフワッとして無重量状態になります。私はブランコやジェットコースターが苦手です。あのフワッとする感覚によって気持ち悪くなります。富士急ハイランドで乗れるアトラクションはほとんどありません。そもそも誘ってくれる友人はまったくおりません。

 

 いまさらながら、自分大丈夫だろうかという不安で、心臓の鼓動が激しくなってきました。パラシュートひらかなかったらここで死ぬのか。落下の最中に失神しないだろうか。風にあおられて電線で感電死しないか。そもそも、33,000円も払ってなんでこんなに不安と闘ってるんだ。TVショーでは罰ゲームで泣いている人もいたじゃんか。

 

 目の前の方々がセスナから飛び出していきます。もう吐きそうです。辛いです。「せーの」というインストラクターの掛け声で飛び出しました。

 

 落下はじめは、姿勢が上下左右ばらばらにぐるぐると回転します。と同時に、あのジェットコースターで味わうフワッと感覚が続きます。つらすぎます。空間の中で、ただ重力のみに操られる無防備を感じます。少しして、大の字のようなポーズになりました。テレビでも見たことあるスカイダイビングといえば、のポーズです。この間はフワッと感がありません。東京や富士山の方向をインストラクターさんが教えてくれます。街並みがパノラマのように非現実的に見えます。この間だけスカイダイビングが面白いと思えました。続いてパラシュートが開かれました。インストラクターさんが落下地点に向けて微調整しておられるのでしょう。フワッと感覚が再三登場します。また、ぐるぐる回転します。スカイダイビング酔いしました。苦しみの時間です。はやく地面に着くことを願っておりました。

 

 無事着地しました。地面に立ったとき足が震えていましたが、カッコ悪いと思われたくなくて、筋肉に力を入れて震えを無理矢理抑えつけていました。めちゃくちゃ辛かったけど、興奮さめやらぬといったフリをしていました。

 

 着地点から受付まで車で帰ります。カップルは、またやりたいねーと言っていました。私は、33,000円もらえるとしても二度とやらないと思いました。

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