1950年代、家電の三種の神器と言われたテレビ、冷蔵庫、洗濯機が現在我が家には存在しない。
テレビとの別れは7年前に遡る。テレビは言った。『仕事と私、どっちが大事なの?』あの頃の私はまだまだ若かった。野心もあったのだろう。仕事を選んでしまった。
冷蔵庫との別れは、東京でだ。冷蔵庫は言った。『私、広島に帰るわ』あの時の私は何も言えなかった。引き止められなかった。それから、彼女とはもう会っていない。
洗濯機との別れは、突然だった。洗濯機は言った。『あなたが好意をよしているあの子は、浮気性よ』しかし、私はあの子(共用の洗濯機)のもとへと行ってしまった。
三種の神器ではなく、三代美女を失った私はなんと罪深き男なのだろう。