取るに足らない小噺ブログ

クスリとしていただきたくしょうもない小噺を提供します。

偽善人

 先日、家に帰る途中コンビニによりました。車から降りると、キャリーケースを引きながら、私くらいの年齢に見えるちょいおじちゃんが近寄ってきました。「あのー、尾道のほうとか行かないですか?」なんと、人生初のヒッチハイクお願いでした。『すみません、行かないです』突然見ず知らずの方に話しかけられて、柔軟に対応できる器用さは私にはありません。すぐ断ってコンビニに入りました。

 

 コンビニのお手洗いで用を足しつつ、色々思考が巡ります。『あの人、すげー困ってんのかな?いや、たださすらっているのか?もしかして犯罪者か?』コーヒーと唐揚げ棒を購入して店の外に出ました。『あのー、竹原までならいいですよ』

 

 その方を車に乗せ、コンビニを出発しました。その方がどうやってコンビニにたどり着いたか話はじめました。鹿児島で財布とスマホを無くした。警察に行ったが、交通費とか借りることはできなかった。親しい人に連絡しようとしたが、番号を覚えていないので連絡できない。ヒッチハイクするしかないということで、ヒッチハイクして鹿児島から広島までたどり着いた。明日、新しい職場の研修があるため、横浜になんとしても帰らなければならないとのこと。

 

 事情を聞いた私は、謎に善人ぶってしまいました。三原駅まで送り、3万円をわたして『これで横浜まで帰ってください』と伝えました。コンビニで買ったコーヒーもわたしました。唐揚げ棒は断られました。その方は、私の名前と電話番号を聞いて「必ずお返しします」と言い、別れ際深々とお辞儀をされました。

 

 それから数日経ちました。善人ぶった偽善人の私は、詐欺にあったんじゃないかとソワソワしています。電話番号も悪用されるのではないかとビビっています。滅多なことして人を疑って最低ピーマンな私です。