取るに足らない小噺ブログ

クスリとしていただきたくしょうもない小噺を提供します。

何階ですか?

 地方銀行の口座を開設している。東京には支店が一つしかない。東京で通帳記入するには、その支店に行くしかない。電車を乗り継いで向かった。

 

 銀行は、大きなオフィスビルの6階にある。ATMも6階にある。エレベーターに乗る。ドアが閉まりそうなタイミングで女性が二人乗り込んできた。何階ですか?とふと尋ねてしまった。5階ですと言われ、5階のボタンを押した。

 

 二人組は5階で降りるとき、ありがとうございますと仰った。階を尋ねたことに対してか、5階で「開」ボタンを押していたことに対してかは分からないが、すごくいいことをした気分になった。

 

 ATMで通帳記入を済ませ、帰りのエレベーターに乗った。今度はおじちゃんが乗り込んできた。おそらく銀行員で、お昼休憩に外出するのだろう。先程気分を良くしている私は調子にのって尋ねた。何階ですか?と。

 

 「1階です。」そりゃ、そうだ。予想すれば、おそらく1階だと判断できる。何も考えずに尋ねるもんじゃない。恥ずかしくて、エレベーターで俯いていた。