取るに足らない小噺ブログ

クスリとしていただきたくしょうもない小噺を提供します。

バンテリン

 台湾からマレーシアに飛行機で移動します。桃園国際空港で荷物預けをするため、チャイナエアラインの受付カウンターに向かいました。パスポートを見せて、預け荷物を渡します。一つ一つのやりとりにビビります。「隣で、預け荷物検査するから待っときな坊や」的なことを言われました。

 

 X線検査をしているようです。私の荷物がはじかれました。坊主頭の精悍な青年が私のトランクを持ち、中国語で何か言っています。「誰だ、危険なものを飛行機に持ち込もうとしている奴は?トランクを粉々にするぞ!!」

 

 私はおそるおそる前にでてこのトランクは私のだとアピールしました。すると、精悍な青年は、「バンテリン」と言いました。前後の言葉は中国語でさっぱりピーマンでしたが、バンテリンは聞き取れました。『ごめんなさい、中国語が分からないです。英語で話してくれませんか。』という英語の丸暗記したフレーズを言いましたが、「バンテリン」と繰り返します。青年は、ダメだ埒があかねえといった顔をして、他の係員に目配せしました。

 

 女性の係員が来て、トランクを指差しながら、「バンテリン」と言いました。状況は何も変わりません。私も必死に『ワット イズ バンテリン?』と言い返しました。いや、筋肉痛とか軽減する薬用品だと分かっていますけど、パニック状態だったわけです。女性はため息をついて、別の対応に向かいました。

 

 取り残された私は、ひとまずトランクを開けて考えました。バンテリンバンテリン…いや、塗ってないし持ってないし、似た薬のことなのか、ロキソニンのことか、なんだなんなんだ…。プチパニックです。あっ、バッテリーのことか。

 

 バッテリーをトランクから出して見せてOKか尋ねると頷きました。「そうだよ、ブラザー、やればできるじゃねえか」という表情をしていました。なんだよ、バンテリンって。