取るに足らない小噺ブログ

クスリとしていただきたくしょうもない小噺を提供します。

髪を染めた末路

 中3の夏休み、小学校の校庭で髪を染めた。鏡を見ずに髪を染めるとまだらな茶髪に仕上がった。中学校の校則には、髪を染めてはいけないとある。夏休みは終わり、2学期始業式の日となった。先生に反発することなど一度もなく、大人しく誰の目にも止まらない、自称優等生である私がまだらな茶髪で登校する。目立つこと間違いない。大学デビューならぬ、中3の夏デビューである。

 

 中学校の近くの横断歩道。登校する生徒たちが赤信号を待っている。同じく赤信号を待つ。いささか視線とひそひそ声が聞こえる。わいに注目してるな。心臓はバクバク。クールを装う。正門に近づいていく。先生が大きな声で次々と生徒におはようと言う。おはようリレーのバトンは私へと渡った。教員の視線が私に向けられる。『おはようござい…』「おい、ちょっと来い」幾多の問題児を諭してきた屈強な体育教師に呼び止められた。「髪染めとるな、どうする?」この質問に対する答えは、もう準備万端である。何日も前からリハーサルをしていた。『はい、すぐ坊主にします。』茶髪からの坊主デビュー。なんておいしいんだ。二段階で注目される。

 

 体育教官室隣にバーバーがある。教員の名を冠しているそのバーバーで嬉々として坊主デビューを遂げた。坊主にするという戒めにこんなに喜んでいる奴はかつていたのだろうか。いや、いない。振り返ってみると変な奴だとつくづく思う。黒歴史だなぁ…。