取るに足らない小噺ブログ

クスリとしていただきたくしょうもない小噺を提供します。

先輩風を吹かせられない

 地元を離れて一人暮らしをはじめた後輩がいた。色々と縁があり、再会した。ご飯でも行きますかという話になった。

 

 美味しいスープカレー屋さんに行くことにした。グルメな先輩だと思われるだろう。車で迎えに行く。スマートな先輩だと思われるだろう。

 

 うまいスープカレーだ。昔話に花を咲かせ、お会計になった。ここは私に任せなさい。器の大きい先輩だと思われるだろう。おっと、ポケットの中に財布がない。これくらいは、ご愛嬌。車に見に行く。うん、どこにも財布がない。

 

 後輩に言う。ごめん、一旦立て替えてくれないか。後輩が言う。すみません、足りません…。後輩は、つつましい生活をしている。店主にしどろもどろ事情を話す。優しい店主だった。一旦、家に財布をとりに帰ることになった。

 

 グルメでスマートで器の大きい先輩だと思われるだろうか、いや思われない。