取るに足らない小噺ブログ

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刹那の逡巡

 宮本武蔵は、吉岡一門の当主吉岡清十郎との決闘で極限まで集中力を高めた。そのとき、武蔵の口からは涎が垂れた。全ての感覚を仇の一太刀のみに反応する身体となった凄まじい描写だ。

 

 呪術廻戦の主人公虎杖悠仁は、強敵との戦いの最中、相手を倒すべく一撃を放つため、唾液が垂れるのも気づかぬほど集中力を高めた。次の瞬間、新たな必殺技を発動させ、敵を圧倒する。

 

 私は電車で座りながらウトウトしていた。睡魔という宿敵に抗おうと必死に抵抗していた。刹那の逡巡、私の口からは涎が垂れた。かの宮本武蔵や虎杖悠仁のように。

 

 集中力は極限に達していたのだが、マスクには嫌なシミ跡が残った。