取るに足らない小噺ブログ

クスリとしていただきたくしょうもない小噺を提供します。

無垢ゆえに

 子どもは、無垢である。年齢が下がれば下がるほどに。ゆえに、久しぶりに5歳児に会おうものなら、普段配慮を身につけた大人たちに囲まれていることを実感する。

 

 たまたま、保育園に行く用事があった。私は、自分の身長の半分よりも小さな人たちに人見知りを発動させ、隅っこで枯れ木のように立っていた。せめて、恐怖心を与えないようにと、笑顔を作ることに努めていた。笑顔を意識的に作ることなどなかなかないため、私の顔の笑顔筋は、けいれんし、ひきつっていた。

 

 ふと、周囲を見渡していると(どこを見ればいいか分からず挙動不審をしていると)、5m先の少年、推定年齢5歳が私を見ていた。そして、私の方に指をさし、「じじい」と言った。

 

 私は突然の外界からのアクションに、0.5秒ほどフリーズした。しかし、なんとか気を保ち、リアクションを返した。『じじい?』自分を指差しながら、5歳児に対して私のことをじじいと言っているのか確認した。少年は、再び「じじい」と言って笑顔を見せた。声に出していたわけではないが、あのときたしかに「そうだよ」といったニュアンスを少年から受け取った。

 

 子どもって怖い。