取るに足らない小噺ブログ

クスリとしていただきたくしょうもない小噺を提供します。

おばあちゃんの味

 大学生の頃、母親の勧めで歯医者に行った。感じがよく、丁寧に診てもらえるとのこと。歯医者には滅多に行かないので緊張して向かった。

 

 母の言う通り、とても感じがよい歯医者だった。受付の方はとても丁寧で、人当たりがよい。歯科衛生士さんも感じがよい。お医者さんも優しい。診断で、歯を綺麗にしてもらうことになった。2回に分けてするとのこと。今回ともう一度来てすることになり、予約をいれた。

 

 予約した日になった。前回とても感じがよかったためか全然緊張せずに歯医者に向かった。また、2回目ということで、前回と同じようなことをすると分かっているのも安心だ。年配の歯科衛生士さんがしてくださるようだ。安心だと目をつむった。

 

 あれ、前回のゴム手袋の味ではない。そんなまさかである。私の口に歯科衛生士さんは指を突っ込んでいた。ゴム手袋をはめずに…。

 

 頭がフル回転した。ゴム手袋より素手の方が自然な感じで良い治療法として海外で認められているのか?かつては、ゴム手袋をつけないのが主流だったのか?単純につけ忘れたのか?おばあちゃんの指をしゃぶっている。おばあちゃんの味がした。

 

 あれから10年の月日が経った。最近歯医者に行っていない…。