取るに足らない小噺ブログ

クスリとしていただきたくしょうもない小噺を提供します。

電車怖い

 移動手段はもっぱら電車である。最近になってよく利用するようになった。しかし、電車でよく恐怖体験をする。

 

 深夜のガラガラの電車。座席はまばらに埋まっている。私の目の前にはいかついスキンヘッドのおじさんが缶ビール片手に足を組んで座っている。絶対に目を合わせてはいけないと本能が反応する。おじさん突然床に唾を吐いた。私は気が弱いが、公共のルールを守らない人は大嫌いである。許せない。懲らしめてやらなければ。おじさんの足を蹴り、自分の唾を踏ませてやろうか。いや、私の靴で唾を踏み、その靴裏をおじさんの足に擦り付けてやろうか。心拍数が上がっていく。おじさん、次の駅で下車した。振り上げた正義の拳は振り下ろせなかった。心臓に悪い。謎にストレスが溜まった。

 

 22時ごろの電車。席は全て埋まっている。飲んだ人、うとうとしている人を見かける。私はたまたま席に座ることができた。イヤホンをつけて音楽を聞いていた。音量はかなり小さかった。どこからか怨念のこもった声が聞こえてきた。なんだ、幻聴か!?また、聞こえる。なんて言ってるのか声に意識を集中した。『すわりたいよー、すわりたいよー』声の主が誰なのかよく分からない。声の主と目が合えば絶対ターゲットにされてしまう。電車の床に視線を落とした。音楽で聞こえていないフリをしよう。電車が駅に着き、近くの席が空いた。しかし声の主は座れなかったようだ。電車が駅を出た。『すわりたいよー、すわりたいよー』また言っている。私はずっと電車の床を見ていた。最近電車で怖い人によく会う。