取るに足らない小噺ブログ

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運動している物体には、進んでいく方向に向かう力が必ずはたらくわけではない

 『運動している物体には、進んでいく方向に向かう力が必ずはたらいている。』これは、正しくないのだが、多くの人がそうだと信じている考え方である。理系大学に通う大学生も間違うことがあるそうだ。このような運動の例としては、重力による物体の落下があげられる。落ちる方向(進んでいく方向)に対して、力である重力がはたらいている。実にわかりやすい。だが、必ずしも運動している物体には、進んでいく方向に向かう力がはたらいているわけではない。

 

 さて、運動している物体には、進んでいく方向に向かう力が必ずはたらいているわけではないことをどうやって説明できるだろうか。私は物理を散々勉強してきたつもりだったが、深く理解できていない。そのため、この説明が咄嗟にできず、かなり落ち込んだ。

 

 前提条件として重力による物体の落下運動はだんだん加速していくという事実は知っていることとしよう。どうやったら確かめられるか?スマートフォンの連写機能で落ちていく物体を撮影する。すると、0.1秒ごとにシャッターが切られる。つまり、0.1秒ごとに落下する物体の位置が分かる。その間隔は、どんどん広がっていく。この様子から進む方向に対して力がはたらくとだんだん加速していくという事実が分かる。

 

 ここから証明していく。ボールを床に置いて手で押す。するとボールは転がりはじめて、しばらくすると、とまる。なぜ止まるのか。そう摩擦力のせいだ。摩擦力があるから、だんだん遅くなって止まる。では、摩擦力をほとんど無視できる氷の上を考えよう。この氷の上でスケート靴を履いたあなたが誰かに押されたらどうなる?もし、進んでいく方向に対して力がはたらいているのだとしたら、落下運動と同様にどんどん加速していくことになる。おお、氷の上で誰かに軽く押されたら、どんどん加速してめちゃくちゃはやくなっていくということか。一瞬の油断もできないぞ。うん、そんなことは起こりえない。そんなことが起これば、スケート場は危険極まりない衝突が相次ぐ悲惨な場所となってしまう。軽く押されたとき、摩擦力がなければ、一定の速さですーっと進んでいくのだ。つまり、進んでいく方向に対して、必ず力がはたらいているということがありえないことがわかる。

 

 文章って難しい。伝わるのだろうか?