取るに足らない小噺ブログ

クスリとしていただきたくしょうもない小噺を提供します。

違いますと言えない

 少し前、ファミリーマートで700円以上お買い上げで引くことができるくじを引いた。このくじは、コロナウイルスの影響もあり、客が手で引かない。店員さんが、「何番ですか?」と尋ねてくる。1〜10番の番号のところに並んでいるくじから、客が伝えた番号のくじを店員さんが渡してくれるという流れになっている。

 

 店員さんに『4番で。』と伝えると、「1番ですね。」と言われて1番のところに並んでいるくじを渡された。このように人から違うものを提示されたとき、心の中ではいや違うと思っていてもそれを伝えることができない。

 

 美容院で髪を切ってもらったとき、最後に「どうですか?」と尋ねられる。そこでも『いや、もう少し。』と言うことができない。20歳の頃、美容院で「今日はどんな感じで?」と尋ねられた。私は、『襟足をなくしてください。あと、全体を短くしてください。』と伝えた。結果、襟足は少し短くなったが、全体も短くなり相対的に襟足が際立った。当時、テレビで見た大家族のいたずら好きな5歳児と同じ髪型だった。死ぬほど嫌だった。しかし、何も言えない。4000円のカット代を財布から出すのに人生で最も苦しんだ。

 

 家に帰り、泣きながらバリカンで坊主頭にした。こんなに辛くても違いますと言えない。

 

 ファミリーマートのくじは当たりだった。違うと言わなくて、いいこともたまにはある。