「娘はやらん」
A:娘に恋人ができて、その恋人が娘を僕にくださいって言われたらどうよ?
B:いきなり何だ?
A:おれは絶対に許さないね。
B:おまえ、そもそも娘も恋人もいねーじゃねえか。
A:ちょっと、どこの馬の骨か分からない男の役をやってくれよ。
B:なんだそりゃ。
(でもやる。あらたまって) うほん、娘さんを僕にください。
A:(娘さんの後にすぐかぶせて)何だその咳は?風邪でもひいてるのか?
B:ちげーよ、喉の準備をしたんだよ。いきなり遮るなよ。
A:あっそう、じゃあはじめから。(促すジェスチャー)
B:お父さん、娘さんを僕にください。
A:私は君のお父さんではないというよくあるやつはやらないよー。
B:ざあんしーん。
A:はじめからやってくれ。
B:(あらたまって)娘さんを僕にください。
A:人はねー、物じゃないんだよ。くださいと言われてねー、あげますっていうねー物みたいに扱われてもねー。はないちもんめじゃあるまいしねー、人にはねー、人権ってものがあってねー…
B:(遮りながら)うっとおしいなー、言葉の綾だろう。続けろ。
A:娘のどこが好きなんだ?
B:はあ?
A:娘のどこが好きなんだと聞いているんだ。それが言えないなら娘はやらないよ。そもそもねー、私はねー、大切に大切に娘を育ててきたんだねー、そんな娘のねー好きなところをねー、1つも言えないようじゃあねー…
B:(遮りながら)普通はきかねえだろ、娘のどこが好きかなんて。
A:どうなんだ?答えられないのか?
B:さきさんの笑顔を見て一目惚れしました。
A:さきは私の妻だあ。
B:いや、恋人の名前間違えねえだろ。娘の名前の設定で進めさせろ。
A:娘のどこが好きなんだ?
B:笑顔の素敵なところです。
A:他は?
B:料理がうまいところです。
A:他は?[このやりとりを3回繰り返す]
B:しつけーわ、どんだけ聞いて喜んでんだよ。
A:もう出てこないのか。そんなことでは娘はあげられないねー。(変な顔)
B:こんな変わり者の親父の娘なんかいらねーよ。
A:ほらね、これで追い返すことができる。
B:追い返す?娘を嫁がせてやらねーのか。娘が信じる男を親父が信じてやれなくてどーするんだ。(全身全霊で)
A:おれ、娘いねーけどな。
B:やかましーわ。